学長挨拶

“異次元の高齢化”
ジェロントロジーを軸に課題解決を

多摩大学学長 寺島 実郎
Jitsuro Terashima

多摩大学学長 寺島 実郎

これまでに本学は、多摩地域を「東京都多摩地域のみならず、多摩川流域と相模川流域に挟まれた地域」との独自の圏域を設定し“多摩学”研究を推進してきました。

この地域には、東京近郊をベルトのように取り巻く「国道16号線」沿いに建設された団地・ニュータウンがあり、本学開学時(1989年)は高度成長を牽引した団塊世代が集積し、都心のベッドタウン機能を果たしていましたが、四半世紀を経て、居住者が急速に高齢化するとともに、地域の活性化が大きな課題となっています。戦後民主主義の主体的な担い手であった都市新中間層が形成する核家族とニューファミリーが新たな局面を迎えている現在、一次産業が至近距離にあり、高齢者の社会参画のプラットフォームを構築しやすい田舎の高齢化とは異質の、大都市郊外型の高齢化が大きな課題になってきたと言えます。

本事業では、大都市郊外型高齢化に焦点を絞り、アカデミズムに根ざした大学の役割として高齢者参画型のプラットフォームを作るべく、大きな構想力を持って研究ブランディングに取り組んでいきます。

研究ブランディング事業推進にあたり、重要なキーワードが“ジェロントロジー”です。ジェロントロジー(高齢化社会工学)を軸に、異次元高齢化の都市郊外型高齢化社会に向けて、大学の変革と地域社会の変革に貢献するプログラムを展開していきます。

本事業の事業内容と実施計画に沿った取組みを推進するとともに、世界を見渡したジェロントロジーの構想力を研究し、本学としてこれまで取り組んできた「多摩学」やその発展である「大いなる多摩学会」、学部・社会人大学院横断の学長直轄インターゼミ(社会工学研究会)におけるチーム研究や延べ参加者数12万人超の公開講座「寺島実郎監修リレー講座『現代世界解析講座』」、高齢者第1次産業参画「シルバー・デモクラシー企画」などの実績をもとに、新しいプログラム・プロジェクトによる研究を実施して、ジェロントロジーと大都市郊外型の高齢化社会対応力を持つ大学としてのブランディングを行います。

多摩大学は、超高齢化に立ち向かい革新的な挑戦を続けていきます。